コンタクトレンズとは
コンタクトレンズのコンタクトとは、誰かとコンタクトをとる、という様に『接触』という意味があります。
コンタクトレンズは角膜にレンズを『接触』させることで視力を矯正したり物によっては眼の外観を変える医療機器です。
コンタクトの装着によってなぜ視力を矯正できるのしょうか。
それを説明するには眼の中で何が起きて視力が落ちているのかを理解する必要があります。
近くのものを見るとき、遠くのものを見るとき
近くのものを見るとき眼は水晶体の厚さを厚くすることによって近くものにピントを合わせます。一方で、遠くのものを見るとき眼は水晶体の厚さを薄くすることによって遠くのものにピントを合わせます。逆に、近くのものを見るときに水晶体が薄いと焦点が網膜より後ろになってしまいますし、遠くのものを見るときに水晶体が厚いと焦点が網膜より手前になってしまいます。
また、水晶体が同じ厚さのとき、眼球自体が大きくて網膜の位置が後ろであれば焦点は網膜より手前になりますし、眼球が小さくて網膜の位置が手前であれば焦点は網膜よりも後ろになってしまいます。
近視はすごく遠くを見ている時に網膜の手前で焦点を結んでしまう状態のことを言います。眼はすごく遠くを見ている時は水晶体の厚さを調節している毛様体筋が緩んで休んでいる状態になっています。この時、水晶体は可能な限りで最も薄くなっている状態です。 近視の人が近くを見ようとする時は毛様体筋に力を入れることで水晶体を厚くしてピントを調節することができます。しかしちょっと遠くを見るときには毛様体筋を緩めて水晶体を薄くしたいところですが、すでに可能な限り薄くなっている状態にあるためピントを合わすことができないのです。近視の人が近くのものは見えて遠くのものが見えないのはこういった理由からです。
近視と真逆のことが遠視では起こっています。
遠視はすごく遠くを見ている時に網膜の後ろで焦点を結んでしまう状態のことを言います。
視の人がちょっと遠くを見ようとする時は毛様体筋に少しだけ力を入れて水晶体を少しだけ厚くすることでピントを調節することができます。
しかし近くを見るときには毛様体筋にかなり力を入れて水晶体を頑張って厚くしないといけないので、厚くできるのにも限界があるため近くのものにピントを合わすことができないのです。
遠視の人が遠くのものは見えて近くのものが見えないのはこういった理由からです。
ここでコンタクトレンズが登場します
近視の人は網膜の手前で焦点を結んでしまうので、これを正しい位置、網膜の位置に焦点を結ぶように焦点の位置を後ろにずらす矯正ができれば良いわけです。焦点の位置を後ろにずらすには凹レンズというものを使います。
遠視の人は網膜の後ろで焦点を結んでしまうので、これを正しい位置、網膜の位置に焦点を結ぶように焦点の位置を手前にずらす矯正ができれば良いわけです。焦点の位置を手前にずらすには凸レンズというものを使います。
近視用や遠視用のコンタクトレンズにはそれぞれこの凹レンズや凸レンズが入っていています。同じ近視や遠視と言っても焦点がどれくらいずれているのかは人それぞれです。
このズレ具合を調べるのが視力検査であり、検査から導かれる度数(+1.50Dや-2.00Dなど)のコンタクトレンズを正しく選ぶことで眼を見える状態に矯正することができます。
これがコンタクトレンズの基本的な仕組みになります。
視力矯正をする眼鏡とコンタクトレンズ
視力矯正できるという点ではメガネとコンタクトレンズは変わらないですが、
コンタクトレンズには眼に直接つける事による恩恵がいくつもあります。
目鏡では目から離れたレンズを覗き込む形になるため、コンタクトレンズの方が視野を広く持つことができます。メガネのようにぶつけて壊れたり、衝撃で外れたりすることもないためスポーツや日頃の運動にも適しています。ご飯を食べる時に曇ったりすることもないです。コンタクトレンズはとても自然に見ることができるので、まるで自分の目のように使うことができとても便利です。デメリットを挙げるとしたら、装着脱には練習が必要となることと、眼に疾患がある場合には使うことができないという点です。
コンタクトレンズには種類があり、まずソフトとハードがあります。一般的なコンタクトレンズはソフトの方を指します。ソフトコンタクトレンズは水分を含んだ柔らかい素材でできているため装着しても違和感が少ないです。また、ソフトコンタクトレンズは交換するタイミングによって一日使い捨てソフトレンズ(ワンデー)、使い捨てソフトレンズ(頻回交換レンズ:ツーウィーク、定期交換レンズ:一ヶ月使用)、コンベンショナルレンズ(従来型)があります。
現在は1日使い捨てソフトレンズとレンズケアを行って2週間ごとに新しいものに交換する2週間頻回交換レンズが主流となっています。視力補正用のレンズには近視用と遠視用だけでなく、特殊レンズと呼ばれる乱視用のレンズや老眼用の遠近両用レンズがあります。